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​BURABO 
ぶらあぼ

Interview with Bravo, She talks about her 2nd Piano recital.

​ぶらあぼにインタビュー記事が掲載されました。

■1:武田さんは3歳からピアノをはじめられ、はやくから注目を集めてこられましたが、ピアノをはじめたきっかけや本気でピアニストを目指すようになった経緯などを教えてください。

 

 

・私の家系は音楽をやっている人が実は一人もいないのですが、母がクラシック音楽を聴くのが好きなため、ラジオやテレビでは常にクラシック音楽が流れていました。

ベートーヴェンの「月光」が大好きで、いつか弾いてみたいと強く憧れていたことを鮮明に覚えています。3歳の時、女性ピアニストが月光を弾いている番組が終わった後、この曲を弾いてみたい。ピアノを習いたい。と自分から両親にお願いしました。


また、日本音楽コンクールの覇者であり、今や国際コンクールでの入賞も数々しておられる世界を舞台にご活躍中のピアニスト、佐藤卓史さんが同郷で小学校も同じだったのですが、幼い頃から親しくして頂いており、私はいつも卓史さんの演奏に憧れ、尊敬してきました。身近なところに素晴らしいピアニストがいて下さったため、コンクールに出たり、高校から親元を離れ音高に進学したのは、ごく自然な流れでした。

 

小学校6年生の時、ナウム・シュタルクマン氏のコンサートで、月光を聞く機会があり、先生の強い勧めで聞きに行ったのですが、巨匠シュタルクマン氏の奏でる月光は、彼の人生や命までもが見えるほどの、悲しく、優しく、そして静かな強く美しい演奏で、強い感動と衝撃を受けました。会場にいたほとんどの人が涙を流して聞いていました。―あの日、舞台に立って演奏することの意味がわかった気がします。

いつか、作曲家と対話し、自分の内に向かい、音楽に向かい、そして聞く人々の心に訴える、あのような演奏ができるようになりたいと強く思うようになりました。


 

■2:小川典子氏やドレンスキー氏、さらにルヴィエ氏など名奏者、名教師に学んだ経験をお持ちですが、こういったレッスンを通じて、とくに印象に残ったことを教えてください。


・どんなに練習を重ねても、得体のしれぬ越えられない壁にぶつかることがあります。

その自分ではどんなに考えても越えられなかった壁を、いとも簡単に崩してくださるというか…理論や理屈を抜きにした生きた音楽が、魂を持ったまま、体の中に吹き込まれるような感覚でした。

ドレンスキー先生やルヴィエ先生のレッスンでは通訳さんがいらっしゃるのですが、通訳さんが必要ないくらい先生の音だけで、先生の言わんとしていること、また作曲家の姿や想いが聞こえるほどの、強烈なまでの“音楽”を感じました。…その感覚を言葉で表現するのは難しいのですが、ルヴィエ先生には「音楽の魔法にかけられた」と伝えました。(余談ですが、ルヴィエ先生から魔法が解けぬようにとお守りを頂きました。笑)

 

 

■3:今回のリサイタルの選曲のポイントや聴きどころなどを教えてください。また共演される鍵富弦太郎さんの魅力も教えてください。

 

・この秋、パリ・エコール・ノルマル音楽院ディプロマコースの6eme Division≪Execution≫(=最上級演奏家ディプロマ)に学びの場を移すことになりました。私にとって大きな節目となる年と感じています。

ピアノのための作品を数多く残し、また優れたピアニストであったショパンとラフマニノフは、多くのピアニストにとって特別な作曲家であると思います。ショパンは22歳の時に祖国ポーランドを離れ、パリに出た。また彼がパリで初のリサイタルを行ったのが22歳ということから、今パリに旅立とうとしている私の心を重ねて奏でられるよう、ショパンが22歳の時の作品である「別れの曲」を取り入れて、彼らしい詩のような音楽を選曲しました。

現存する録音も数多くあるラフマニノフは、ピアニストとしても敬愛している作曲家です。ラフマニノフは一度交響曲1番の初演に失敗し、極度の神経衰弱に陥りますが、それを乗り越え数々の傑作を残しています。今回はラフマニノフ最後のピアノ独奏曲となった“コレルリの主題による変奏曲”を中心に思い入れのある小品を組み合わせ、第1部では、ショパンとラフマニノフという私にとって特別な作曲家に焦点をあてた、また、ピアノという楽器の多角的な魅力を楽しんで頂けるようなプログラムになっていると思います。


第2部では同い年のヴァイオリニスト、鍵冨弦太郎くんをゲストに迎え、フランス系ヴァイオリンソナタの最高傑作と言われているフランクの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」を演奏します。良き友人でもある弦太郎くんは、繊細な音と流麗な音楽を紡ぎだす素晴らしいヴァイオリニストで、心から尊敬している演奏家でもあります。

初めて彼の演奏を聞いた時、なんて美しい音だろう。そして、なんて楽しそうに楽器を弾く人だろう。と思いました。楽器と作曲家と、音楽に対する愛情に溢れた演奏は、時に優しく、時に激しく心に響いてきて、聞かせてもらうたびに涙が出ます。

私は彼のヴァイオリンに、音の翼が見えます。

彼のような素晴らしいヴァイオリニストと一緒にステージにたてること、大好きなフランクのヴァイオリンソナタを共演できること、本当に幸せに思います。


■4:ピアニストから見たフランクのソナタの魅力を教えてください。またピアニストから見た室内楽の魅力全般にもついても教えてください。 

さらに今後室内楽のピアニストとしての活動にもどのような関心があるかお聞かせください。

・フランクのソナタの魅力は筆舌に尽くしきれぬものがありますが、ピアノとヴァイオリンという楽器の個々の魅力と、二つの楽器のデュオとしての魅力が最大に引き出されているとても美しい作品であるばかりでなく、ヴァイオリンとピアノにかかる音楽的内容の比重が対等なため、ピアノパートは技術的にも内容的にも非常に難しいですが、ヴァイオリンの音色、色彩、歌との重なりや、ヴァイオリンとの高さと深さ、光と影、疾走感と安定感のバランスなど、この曲の持つ美しさのみならず、さまざまな要素や“演奏”を楽しみ、味わうことのできる曲でもあると思います。

コルトーによるピアノ編曲版や、チェロやヴィオラのための編曲版などもありますが、同郷出身のヴァイオリニスト、イザイのために作られた曲だけあって、ヴァイオリンの音域、音色ならではの部分があると私は思います。

ピアノというのは練習のみならず、ステージでもたった一人の常に孤独な楽器なので、室内楽や2台ピアノはスケールが広がり、その一人では表現しえぬ広がりと深さの味わいや、音楽をみんなで創り上げていく喜びや楽しみがあります。

今まで大きな本番で一緒に演奏をしたのは、実はヴァイオリンとの室内楽と2台ピアノのみなので、チェロとの室内楽や、ヴァイオリンやチェロとのトリオ、またピアノ・カルテットやピアノ・クインテットなども勉強していきたいと思っています。


 

■5:好きなピアニストや理想の演奏家像について教えてください。

私は音とは心の言葉だと思います。

大昔のヨーロッパの詩集や物語、日本で言うと万葉集や古今和歌集を読む時、私が驚くのは千年以上の時を経ても少しも変わらない人間の姿であり、思いであります。


圧倒的な自然の美しさを目の当たりにした時の感動や感謝、誰しもが心の中にある、人を愛する気持ちや愛する人を失った時の悲しみ、祈り、絶望や苦しみ…など、言葉にならない人の変わらぬ心、時代を超えて誰しもが持つ普遍的な気持ちを、音で表現したものが、音楽なのだと思います。


クラシック音楽はいつからか敷居が高く堅苦しいものだ、というイメージを持たれてしまうようになった気がしますが、芸術とは常に人の心の側にあり、とても人間的なものだと私は思うのです。だからこそ、この移り変わりの激しい時代の中で、人々と共に笑い、時には泣き、生き続けてきたのだと思います。だから必ず、人の心の芯に響くものだと、強く信じております。


クラシックファンのみならず、もっと沢山の方々にクラシック音楽の持つ素晴らしさや魅力を伝えられる演奏家になれたら、と思います。


今、日本のクラシック界に若手の優秀な人材はたくさんいます。

だからこそ、私は私の言葉で、私の音楽を奏でられるようになりたい。

技術のみならず、人の心に触れられる“なにか”を、誰しもが持つ、様々な想いや気持ちに響くような音楽を奏でられる演奏家になりたい。と思っています。


うまくなりたい。上を目指したい。という夢や希望や想いは、時に欲望になってしまうことがあります。

常にピアノと音楽に対する愛情と作曲家に対する敬愛を忘れず、真摯な気持ちで真っ直ぐにピアノと向き合っていきたいです。

好きなピアニストはたくさんんいますが、特に好きなピアニストは、S.ラフマニノフ、A.ルービンシュタインです。


 

■6:今後の活動の展望や予定、将来弾いてみたいレパートリーなどを教えてください。

今後もソロ、アンサンブル共に積極的に取り組んで勉強していこうと思っています。

今まではドイツ系の作曲家やラフマニノフ、リストといった作曲家を中心に勉強してきましたが、せっかくパリに留学するので、ラヴェルやフォーレなどのフランス系の音楽と、パリに縁のあるショパンやリストも引き続き勉強していきたいです。

パリでの生活に慣れてきたら、向こうのコンクールにも挑戦してみたいと思っています。
 

―このインタビューをして下さった伊藤制子先生がこの長い文章よりピックアップしてまとめて下さって、ぶらあぼの記事ができあがりました。